ITILが経営者の方の決まり文句になってしまって久しいのですが、EXIN実施のITILファンデーション試験(EX0-100J)を受験してきました。試験は40問題、60分、65%以上で合格の試験です。試験の難易度としてはやさしい部類になるかと思います。あっという間に終わって、心配でしたが、パスできました。連続なので、ちょっとバテ気味ながらレポートします。

ITILはInformation Technology Infrastructure Libraryとよばれるもので、英国政府がまとめたIT投資の成功事例集です。しばしば企業の情報システムのベストプラクティスをまとめたものとして、この事例をITシステムのガイドラインとして用いるケースが増えています。日本での標準化を行う団体はitSMF Japanというところです。
→itSMF Japan(http://www.itsmf-japan.org/)

ITILファンデーション試験はEXIN(Examination institute for Information Science) http://www.exin-exams.comによって実施されており、現在ファンデーション試験(EX0-100J)が日本語で実施されています。

最近はISMSについで英国由来の標準として、経営者や偉い方にやたらと「ISMSはどうかね。」と聞かれている人は私を含めてシステム管理やコンサルテーションをされる方には少なくないと思います。
実際のところ、ITILは、書籍からなる企業情報システムの一般的なガイドラインでしかないのですが、ITILという言葉だけ一人立ちして、なんだかすごい標準で、導入すれば企業システムが超生産的に、とか思われがちなところも多くあります。

実際、本音をいえば、情報システムの運用や管理にはノウハウや経験によるところがきわめて多分にあり、簡単に標準化や定量化はできるものではないと思います。だからこそきちんと動いているのか、生産的であるのかといった評価が難しいし、だからこそITILな方々の言い分や分析の理由があるのかと思います。
でも、多少感情的になりますが、現場からすれば、きわめて特殊な事情や条件の中に適応し、苦労や努力を重ねて回っているシステムに、いきなりイギリス由来の標準ガイドラインをもちこんで、おいそれと簡単に定量化してみたり、ITILのおかげで、システムが素晴らしくなったみたいに勘違いされるのは納得いかない方も(私を含めて)多いと思います。

が、試験です。割り切っていきましょう。幸いにもITIL試験はやさしいので、そういう実務でがんばっている方こそ、ITILを理解して、試験を受験して、認定を取得しておけば、経営者や役員に対してきちんと返事できると思います。以下、対策は実務者とその他の方別にコメントします。

(情報システムや運用管理をされている方向け対策)
ITILを読んでみると、普段の運用や管理でごく当たり前のことを言っているにすぎないことに気がつきます。しかしながら、対策は必要です。それは、ITILでの用語の定義と言い方があるためです。「顧客」や「ユーザー」といった用語の定義や、管理についての「○○管理」という言い方がこれに該当します。
一般的な定義や自社で使っている意味とITILでの定義や意味が異なる場合があるので、気をつけてください。対策としてはITIL書籍での表現と定義を確認しておくとよいと思います。
しかし、この試験では原文をみられないため、言葉に納得いかない場合はそのまま英語試験を受験するというのもひとつかもしれません。あとは問題集でなんとかなります。がんばってくださいませ!!応援します。

(情報システムや運用管理の実務をされていない方向け対策)
ちょっとネガティブなコメントもしましたが、ITILはよく分からない、IS(Information System/Information Service)のお仕事を標準化してまとめた格好のテキストになってます。しかも業種や特殊事情等も関係ないため、これから情報システムや情報サービスの仕事をされる方にとってはとても良い題材だと思います。また、他の業務の方から客観的にISの仕事の概要をつかむには良いと思います。
また、よく分からないISだからこそ、物差しが必要なのも事実で、SLAをはじめとして、コンサル的な立ち位置からも多くのヒントにあふれています。まずはITILを通読後、問題集等にとりかかればOKです。がんばってくださいませ!!

(経営者や役員、偉い人へ)
情報システム部員や常駐スタッフがITIL試験を取得しているからといって、自社にITILが導入できているという訳ではありません。また、ITILは魔法の道具でもないし、導入すれば企業の情報システムを標準化して、画一的・客観的に定量化したり、評価できる訳ではないと思います。企業情報システムはもっと経営的な部分や将来の戦略的な部分を多分に含んでいるし、他の物差しも必要です。